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トラサポ通信(運輸のミカタVer.):2024年5月号~輸送安全規則の解釈運用の改正&ドライバー年間教育12項目①事業用自動車を運転する場合の心構え~
運輸のミカタとトラサポでは、毎月「気になるニュース」と「ドライバー教育道場」と題して、運送業界を取り巻く現状とドライバーの年間教育に役立つ情報を発信していきます。
今月の記事はこちら(運輸のミカタVer.は大幅な加筆修正を行った完全版です)
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気になるニュース
「貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用について」の改正
「貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用について」がの改正版が令和6年3月29日に発出されました。
主な変更点は、対面点呼に関する項目(対面点呼の要件緩和)です。
1.少人数で行っている霊きゅう限定事業者や軽貨物事業者の対面点呼に関して
従来の制度では対面点呼が必須(ドライバーの他にもうひとり必要=最低二人)だったのが、今後はドライバー自らが対面点呼の内容を確認して記録することで対面点呼を行ったものとみなします。今回の改正で、これまで事実上不可能だった一人での事業運営も可能となりました。
※注意:一般貨物自動車運送事業者や特定貨物自動車運送事業者は、許可取得段階で複数名いる(対面点呼ができる運行管理体制が整っている)ため、今回の改正内容は無関係です。ドライバー自らが対面点呼の内容を行っても対面点呼とみなされません。
(参考条文)
第7条 点呼等
1.第1項、第2項及び第3項関係
(1),(2) 省略
(3) 「対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定める方法」とは、以下をいう。
・ 一人で事業を行っている場合は、アルコール検知器を使った酒気帯び有無の確認や車両の日常点検等、第7条各号で定める事項を自ら確認し、運行の可否を判断する方法
2.遠隔点呼、業務後自動点呼を行う際の要件緩和
従来の制度では、点呼実施場所(ドライバー側)の天井に監視カメラを備える必要がありましたが、今回の改正で、天井に監視カメラを備えることができない場合は、ドライバーがアルコールチェッカーを使用する際、ドライバーの全身や周囲を運行管理者が確認できるならスマートフォンのカメラ機能やドライブレコーダー、ノートパソコン内蔵カメラ等でも代用可能となりました。
元々、監視カメラ設置要件はアルコールチェック時のなりすましや不正防止のためでした。そのため「アルコールチェッカー使用時の」ドライバーや周囲の様子が確認できれば、必ずしも監視カメラである必要は無いということですね。
(参考条文)
(9) 遠隔点呼の実施に係る留意事項
点呼告示第6条第2号においてビデオカメラその他の撮影機器による確認を求めているのは、なりすまし、アルコール検知器の不正使用及び所定の場所以外での遠隔点呼の実施を防止する趣旨であることから、遠隔点呼実施場所の天井に監視カメラを備える等の対応ができない場合は、運行管理者等が、アルコール検知器使用時に運転者等の全身やその周囲を随時、明瞭に確認できれば、クラウド型ドライブレコーダー、ノートパソコンに内蔵されているWebカメラ、スマートフォン等を使用しても差し支えない。
(11) 業務後自動点呼の実施に係る留意事項
点呼告示第10条においてビデオカメラその他の撮影機器による確認を求めているのは、なりすまし、アルコール検知器の不正使用及び所定の場所以外での業務後自動点呼の実施を防止する趣旨であることから、業務後自動点呼実施場所の天井に監視カメラを備える等の対応ができない場合は、運行管理者等が、業務後自動点呼機器操作時の様子及びアルコール検知器使用時の運転者等の全身やその周囲を業務後自動点呼実施中又は終了後に明瞭に確認できれば、ドライブレコーダー、ノートパソコンに内蔵されているWebカメラ、スマートフォン等を使用しても差し支えない。
※補足
なお、遠隔点呼の環境要件としては「照度要件(明るさ)」もあります。暗かったら映像が見えないので当然ですね。
以前あった「遠隔点呼実施要領」(令和3年12月)では『被遠隔点呼実施営業所等の運転者の顔とカメラの間の照度は500 ルクス程度が望ましい。』として、具体的な数値が示されていましたが、これに代わった「点呼告示」では『随時明瞭に確認できる環境照度が確保されていること。』と具体的な数値は示されておりません。これに関しては別途「遠隔点呼及び自動点呼の告示改正に関するポイント」というQ&Aのなかで『具体的な定量基準は設けていません。遠隔点呼を実施する際に、運行管理者等が運転者の状況を随時明瞭に確認できるように環境照度を設定してください。』とされていますので、500ルクスを多少下回ったとしても、それを理由に遠隔点呼が行えないとはなりません。
ちなみに、労働安全衛生法では、事務所における一般的な事務作業を行う場合は300ルクス以上を求めており、実際の300ルクスは「少し暗い」と感じる程度です。通常の事務所の明るさであれば300~500ルクスは常時確保されていると言えますが、実際に遠隔点呼や業務後自動点呼を始める際は、照度計を使用して明るさを測ってみましょう。
3.遠隔点呼、業務後自動点呼を行った際の点呼記録簿への記載事項の追加
新しい点呼告示では、遠隔点呼を行える場所として以下の場所が追加されました
「運転者等が従事する運行の業務に係る事業用自動車内、待合所、宿泊施設その他これらに類する場所」
この改正に伴い、点呼記録は「運転者等が点呼を受けた場所」という項目が追加されるとともに、輸送安全規則の解釈運用には、その記録の書き方が具体的に示されました。
(参考条文)
第7条 点呼等
3.第5項関係
(4) 点呼告示に基づく点呼等の記録等につき、運転者等が点呼を受ける場所としてあらかじめ定めた場所として、以下のとおり記録するよう指導すること。
(例)○○県××市 △△(実施地点概要:車内、宿泊施設名等)
その他の改正点は表現の変更や改善基準告示の改正に伴う拘束時間の変更(16時間→15時間)等、実務に直接影響を及ぼすような内容ではないので割愛します。
また、同日に発出された「対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定める方法を定める告示」(通称:『点呼告示』)に関する内容は別途まとめますので今しばらくお待ちください。
ドライバー教育道場
事業用自動車を運転する場合の心構え
運送事業者が行わなければならない年間12項目の教育内容を、毎月少しずつ掲載していきます。
今月は「事業用自動車を運転する場合の心構え」についてです。
運転マナーの基本は「思いやり」と「譲り合い」です。
発荷主や配車係の要求に応えるべく、着荷主のところへ一秒でも早く到着したい!と思いながらハンドルを握っているドライバーの方もいらっしゃることでしょう。ですがちょっと待ってください。
みなさんは普段からトラックを走らせていて、一般の方より遥かに経験値が高い、いわば「プロドライバー」です。普段から社内でも運送事業や運転に関する教育を受け、多少急いだところで到着時刻にほとんど変わりが無いことや、事故や違反をした際の多大なる影響を知らない方はいらっしゃらないでしょう。
また、周囲を走っている乗用車のドライバーは逆にプロではない方々。週末や連休ともなれば「サンデードライバー」「ペーパードライバー」も増えます。慣れない土地でまごつくこともあるでしょうし、浮かれた気分で気が緩んだ運転をすることもあるでしょう。
皆さんが運んでいる物は荷主から預かった大事な大事な商品たち。急な割込み等への対応でブレーキを踏まされるとついイラっとしてしまうこともあるでしょう。でもそんなときだからこそ運転のプロとして対応しましょう。あおり運転はもってのほかですが、そのつもりがなくてもトラックはその大きさから威嚇的に捉えられてしまいがちで、あおり運転と感じられてしまうこともあります。急な割込みや急ブレーキにも対応すべく、普段から十分な車間距離を保ちましょう。
今年のゴールデンウィーク後半は4連休で、人手も昨年以上に活況となるようです。各地高速道路の渋滞予測も激しくなることが予想されています。一般ドライバーへの思いやりをいつも以上に持ち、通行車両たちの調整弁になるような運転を心掛けたいものですね。
(車両には会社名がプリントされていますので、会社の代表と思っての行動も心掛けましょう)
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