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シリーズ【運行管理】点呼の実施及びその記録、保存は適正か

点呼の実施及びその記録、保存は適正か

 

運送事業を行う上で絶対に避けて通れない業務のひとつが「点呼」。
ここでは、点呼のやり方、タイミング、記録の付け方などの基本をおさえましょう。

点呼の大前提

 

点呼は、運行管理者等が必ず対面で行うこととされています。
(泊り運行など運行上やむを得ず対面で実施できない場合を除く)

 

点呼の大前提

点呼の基本は【対面】

 

近年、ドライバーの労働時間の長期化問題に関する対応とIT化、デジタル化の時代の潮流を受け、『対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定める方法』というものが複数制定されました(IT点呼等)。これらは対面で行ったに関しては別の記事で詳しく解説しておりますのでそちらをご参照ください。(準備中)

 

参考:貨物自動車運送事業輸送安全規則
第7条 貨物自動車運送事業者は、事業用自動車の運行の業務に従事しようとする運転者等に対して対面により、又は対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定める方法(運行上やむを得ない場合は電話その他の方法。次項において同じ。)により点呼を行い、次の各号に掲げる事項について報告を求め、及び確認を行い、並びに事業用自動車の運行の安全を確保するために必要な指示を与えなければならない。
 一 運転者に対しては、酒気帯びの有無
 二 運転者に対しては、疾病、疲労、睡眠不足その他の理由により安全な運転をすることができないおそれの有無
 三 道路運送車両法第四十七条の二第一項及び第二項の規定による点検の実施又はその確認
 四 特定自動運行保安員に対しては、特定自動運行事業用自動車による運送を行うために必要な自動運行装置(道路運送車両法第四十一条第一項第二十号に規定する自動運行装置をいう。)の設定の状況に関する確認
2 貨物自動車運送事業者は、事業用自動車の運行の業務を終了した運転者等に対して対面により、又は対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定める方法により点呼を行い、当該業務に係る事業用自動車、道路及び運行の状況について報告を求め、かつ、運転者に対しては酒気帯びの有無について確認を行わなければならない。この場合において、当該運転者等が他の運転者等と交替した場合にあっては、当該運転者等が交替した運転者等に対して行った第三条の二第四項第四号又は第十七条第四号の規定による通告についても報告を求めなければならない。
3 (省略)
4 (省略)
5 (省略)

 

点呼の種類~タイミング~

 

点呼の種類

点呼はタイミングによって3つに分類される

 

1.業務前点呼

 

業務開始前に行う点呼のこと。
具体的には『車両の日常点検 → 点呼 → 運行開始』の流れになるので注意が必要。
泊り運行等で遠隔地での業務開始で無い場合は必ず対面で行うこと。
点呼記録簿への記載事項は以下の通り。

 ① 点呼執行者名
 ② 運転者等の氏名
 ③ 運転者等が従事する運行の業務に係る事業用自動車の自動車登録番号又は識別できる記号、番号等
 ④ 点呼日時
 ⑤ 点呼方法
  イ.アルコール検知器の使用の有無
  ロ.対面でない場合は具体的方法
 ⑥ 運転者の酒気帯びの有無
 ⑦ 運転者の疾病、疲労、睡眠不足等の状況
 ⑧ 日常点検の状況
 ⑨ 指示事項
 ⑩ その他必要な事項

 

2.業務後点呼

業務終了時に行う点呼のこと。
泊り運行等で遠隔地での業務終了で無い場合は必ず対面で行うこと。
点呼記録簿への記載事項は以下の通り。

 ① 点呼執行者名
 ② 運転者等の氏名
 ③ 運転者等が従事した運行の業務に係る事業用自動車の自動車登録番号又は識別できる記号、番号等
 ④ 点呼日時
 ⑤ 点呼方法
  イ.アルコール検知器の使用の有無
  ロ.対面でない場合は具体的方法
 ⑥ 自動車、道路及び運行の状況
 ⑦ 交替運転者等に対する通告
 ⑧ 運転者の酒気帯びの有無
 ⑨ その他必要な事項

 

3.中間点呼

 

2泊3日以上の泊り運行や、分割休息を活用する際など、業務の前後どちらも対面で点呼を行えないときは、その業務の途中でこの中間点呼を行うこととされています。確認事項は「酒気帯びの有無」「疾病、疲労、睡眠不足その他の理由により安全な運転をすることができないおそれの有無」の2点で、これに加えて運行の安全を確保するために必要な指示をすることとされています。

※要注意ポイント!
業務前後いずれかで対面点呼ができないとき(1泊2日運行)に中間点呼が必要だと認識している方がいらっしゃいますが、それは誤りです。中間点呼はやらなくて大丈夫です!
また、1泊2日運行での初日の業務後点呼や2日目の業務前点呼を中間点呼と呼ぶ方がおりますが、これも誤りです。中間点呼はあくまでも業務の途中で行う点呼のことを指します。電話点呼=中間点呼ではありませんので、こちらもご注意ください。

 

点呼記録簿への記載事項は以下の通りです。

 ① 点呼執行者名
 ② 運転者等の氏名
 ③ 運転者等が従事している運行の業務に係る事業用自動車の自動車登録番号又は識別できる記号、番号等
 ④ 点呼日時
 ⑤ 点呼方法
  イ.アルコール検知器の使用の有無
  ロ.具体的方法
 ⑥ 運転者の酒気帯びの有無
 ⑦ 運転者の疾病、疲労、睡眠不足等の状況
 ⑧ 指示事項
 ⑨ その他必要な事項

 

参考:貨物自動車運送事業輸送安全規則
第7条
3 貨物自動車運送事業者は、前二項に規定する点呼のいずれも対面により、又は対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定める方法で行うことができない業務を行う運転者等に対し、当該点呼のほかに、当該業務の途中において少なくとも一回対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定める方法(当該方法により点呼を行うことが困難である場合にあっては、電話その他の方法)により点呼を行い、第一項第一号及び第二号に掲げる事項について報告を求め、及び確認を行い、並びに事業用自動車の運行の安全を確保するために必要な指示をしなければならない。

 

対面点呼の種類

 

対面点呼の種類

特殊な点呼は大きく分けると4つに分類される

 

冒頭、『対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定める方法』が複数あると書きました。これが『IT点呼』『遠隔点呼』『業務後自動点呼』『受委託点呼』です。『受委託点呼』は正確には対面点呼を行っているのですが、ここでは特殊な点呼として列挙しておきます。
(それぞれの詳細は別記事「シリーズ【運行管理の高度化】IT点呼、遠隔点呼、自動点呼の違い」等をご覧ください)(準備中)

 

まとめ

 

点呼は、運行管理業務の要と言っても過言ではありません。
点呼をしないことでドライバーの体調の変化に気付けず、飲酒運転や居眠り運転、それに伴う事故を招いてしまった事業者を数多く見てきました。そのほとんどに監査が入り、車両の使用停止等の行政処分を甘んじて受けています。

 

法律で決まっているから仕方なくやるものではありません。
すべては事業法制定の目的でもある「輸送の安全を確保する」「貨物自動車運送事業の健全な発達を図る」「公共の福祉の増進に資する」ためです。

 

安全無くして発展も社会貢献もありません。
そのための第一歩として、点呼は正しく行いましょう。

 

本日もご安全に!

 

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トラサポ通信(運輸のミカタVer.):2024年5月号~輸送安全規則の解釈運用の改正&ドライバー年間教育12項目①事業用自動車を運転する場合の心構え~

対面点呼の要件緩和

 

運輸のミカタとトラサポでは、毎月「気になるニュース」と「ドライバー教育道場」と題して、運送業界を取り巻く現状とドライバーの年間教育に役立つ情報を発信していきます。

今月の記事はこちら(運輸のミカタVer.は大幅な加筆修正を行った完全版です)

    

気になるニュース

「貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用について」の改正

「貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用について」がの改正版が令和6年3月29日に発出されました。
主な変更点は、対面点呼に関する項目(対面点呼の要件緩和)です。

1.少人数で行っている霊きゅう限定事業者や軽貨物事業者の対面点呼に関して

従来の制度では対面点呼が必須(ドライバーの他にもうひとり必要=最低二人)だったのが、今後はドライバー自らが対面点呼の内容を確認して記録することで対面点呼を行ったものとみなします。今回の改正で、これまで事実上不可能だった一人での事業運営も可能となりました。

※注意:一般貨物自動車運送事業者や特定貨物自動車運送事業者は、許可取得段階で複数名いる(対面点呼ができる運行管理体制が整っている)ため、今回の改正内容は無関係です。ドライバー自らが対面点呼の内容を行っても対面点呼とみなされません。

(参考条文)
第7条 点呼等
1.第1項、第2項及び第3項関係
(1),(2) 省略
(3) 「対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定める方法」とは、以下をいう。
・ 一人で事業を行っている場合は、アルコール検知器を使った酒気帯び有無の確認や車両の日常点検等、第7条各号で定める事項を自ら確認し、運行の可否を判断する方法

 

2.遠隔点呼、業務後自動点呼を行う際の要件緩和

従来の制度では、点呼実施場所(ドライバー側)の天井に監視カメラを備える必要がありましたが、今回の改正で、天井に監視カメラを備えることができない場合は、ドライバーがアルコールチェッカーを使用する際、ドライバーの全身や周囲を運行管理者が確認できるならスマートフォンのカメラ機能やドライブレコーダー、ノートパソコン内蔵カメラ等でも代用可能となりました。

元々、監視カメラ設置要件はアルコールチェック時のなりすましや不正防止のためでした。そのため「アルコールチェッカー使用時の」ドライバーや周囲の様子が確認できれば、必ずしも監視カメラである必要は無いということですね。

(参考条文)
(9) 遠隔点呼の実施に係る留意事項
点呼告示第6条第2号においてビデオカメラその他の撮影機器による確認を求めているのは、なりすまし、アルコール検知器の不正使用及び所定の場所以外での遠隔点呼の実施を防止する趣旨であることから、遠隔点呼実施場所の天井に監視カメラを備える等の対応ができない場合は、運行管理者等が、アルコール検知器使用時に運転者等の全身やその周囲を随時、明瞭に確認できれば、クラウド型ドライブレコーダー、ノートパソコンに内蔵されているWebカメラ、スマートフォン等を使用しても差し支えない。
(11) 業務後自動点呼の実施に係る留意事項
点呼告示第10条においてビデオカメラその他の撮影機器による確認を求めているのは、なりすまし、アルコール検知器の不正使用及び所定の場所以外での業務後自動点呼の実施を防止する趣旨であることから、業務後自動点呼実施場所の天井に監視カメラを備える等の対応ができない場合は、運行管理者等が、業務後自動点呼機器操作時の様子及びアルコール検知器使用時の運転者等の全身やその周囲を業務後自動点呼実施中又は終了後に明瞭に確認できれば、ドライブレコーダー、ノートパソコンに内蔵されているWebカメラ、スマートフォン等を使用しても差し支えない。

※補足

なお、遠隔点呼の環境要件としては「照度要件(明るさ)」もあります。暗かったら映像が見えないので当然ですね。

以前あった「遠隔点呼実施要領」(令和3年12月)では『被遠隔点呼実施営業所等の運転者の顔とカメラの間の照度は500 ルクス程度が望ましい。』として、具体的な数値が示されていましたが、これに代わった「点呼告示」では『随時明瞭に確認できる環境照度が確保されていること。』と具体的な数値は示されておりません。これに関しては別途「遠隔点呼及び自動点呼の告示改正に関するポイント」というQ&Aのなかで『具体的な定量基準は設けていません。遠隔点呼を実施する際に、運行管理者等が運転者の状況を随時明瞭に確認できるように環境照度を設定してください。』とされていますので、500ルクスを多少下回ったとしても、それを理由に遠隔点呼が行えないとはなりません。

ちなみに、労働安全衛生法では、事務所における一般的な事務作業を行う場合は300ルクス以上を求めており、実際の300ルクスは「少し暗い」と感じる程度です。通常の事務所の明るさであれば300~500ルクスは常時確保されていると言えますが、実際に遠隔点呼や業務後自動点呼を始める際は、照度計を使用して明るさを測ってみましょう。

 

3.遠隔点呼、業務後自動点呼を行った際の点呼記録簿への記載事項の追加

新しい点呼告示では、遠隔点呼を行える場所として以下の場所が追加されました

「運転者等が従事する運行の業務に係る事業用自動車内、待合所、宿泊施設その他これらに類する場所」

この改正に伴い、点呼記録は「運転者等が点呼を受けた場所」という項目が追加されるとともに、輸送安全規則の解釈運用には、その記録の書き方が具体的に示されました。

(参考条文)
第7条 点呼等
3.第5項関係
(4) 点呼告示に基づく点呼等の記録等につき、運転者等が点呼を受ける場所としてあらかじめ定めた場所として、以下のとおり記録するよう指導すること。
(例)○○県××市 △△(実施地点概要:車内、宿泊施設名等)

 

その他の改正点は表現の変更や改善基準告示の改正に伴う拘束時間の変更(16時間→15時間)等、実務に直接影響を及ぼすような内容ではないので割愛します。

また、同日に発出された「対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定める方法を定める告示」(通称:『点呼告示』)に関する内容は別途まとめますので今しばらくお待ちください。

 

ドライバー教育道場

事業用自動車を運転する場合の心構え

運送事業者が行わなければならない年間12項目の教育内容を、毎月少しずつ掲載していきます。

今月は「事業用自動車を運転する場合の心構え」についてです。

 

運転マナーの基本は「思いやり」と「譲り合い」です。

発荷主や配車係の要求に応えるべく、着荷主のところへ一秒でも早く到着したい!と思いながらハンドルを握っているドライバーの方もいらっしゃることでしょう。ですがちょっと待ってください。

みなさんは普段からトラックを走らせていて、一般の方より遥かに経験値が高い、いわば「プロドライバー」です。普段から社内でも運送事業や運転に関する教育を受け、多少急いだところで到着時刻にほとんど変わりが無いことや、事故や違反をした際の多大なる影響を知らない方はいらっしゃらないでしょう。

また、周囲を走っている乗用車のドライバーは逆にプロではない方々。週末や連休ともなれば「サンデードライバー」「ペーパードライバー」も増えます。慣れない土地でまごつくこともあるでしょうし、浮かれた気分で気が緩んだ運転をすることもあるでしょう。

皆さんが運んでいる物は荷主から預かった大事な大事な商品たち。急な割込み等への対応でブレーキを踏まされるとついイラっとしてしまうこともあるでしょう。でもそんなときだからこそ運転のプロとして対応しましょう。あおり運転はもってのほかですが、そのつもりがなくてもトラックはその大きさから威嚇的に捉えられてしまいがちで、あおり運転と感じられてしまうこともあります。急な割込みや急ブレーキにも対応すべく、普段から十分な車間距離を保ちましょう。

 

今年のゴールデンウィーク後半は4連休で、人手も昨年以上に活況となるようです。各地高速道路の渋滞予測も激しくなることが予想されています。一般ドライバーへの思いやりをいつも以上に持ち、通行車両たちの調整弁になるような運転を心掛けたいものですね。

(車両には会社名がプリントされていますので、会社の代表と思っての行動も心掛けましょう)

 

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【2024年問題考察】標準約款改正で何が変わるのか?

標準約款改正

 

 

標準約款とは

標準約款とは、貨物の運送契約に関する基本的なルールを国土交通省が定めたものです。約款とは本来、事業者それぞれが、自社が行う取り引きの基本的な枠組みを定めたものですので、各社で違いがあって然るべきものですが、物流は日本経済を支える重要な事業のため、国としてある程度の水準を担保することを目的にこの標準約款を定めています。もちろん、自社で作成した独自約款で事業を行うこともできますが、許可申請時にこの標準約款を使用することを届け出ている事業者(おそらく許可事業者の大半)は、改正によって自社の取り引きの基本ルールも同時に変更になるため無視できません。

今回の改正は、物流業界の持続的な成長を支え、トラック運送事業者が健全に事業を運営できるようにするために行われました。改正された標準約款は、2024年(令和6年)6月1日から施行されます。

主な改正点は以下の通りです。

 

標準約款の改正点

 

1. 荷待ち・荷役作業など、運送以外のサービス内容の明確化と対価収受の明確化

 

「運送」とは目的の場所へ運ぶことであると、国語辞書には載っています。荷物をトラックに積んで実際に走行している時間の対価として発生するのが「運賃」です。
運送事業者とは、本来「運ぶこと」のみをするはずが、いつからかサービスの一環として荷積みや荷下ろしなどもやるようになっていき、サービスですのでそこに掛かる労力に対しての料金を請求できないでいました。
この「運送」と、それに附随するあらゆる「附帯業務」をはっきりと区別し、「運送」っでは運賃を、「附帯業務」では料金を、それぞれ収受しましょうというのが今回の改正です。

改正前:適正な運賃・料金の収受を目的として、平成29年の改正時に「待機時間」、「附帯業務等」が具体的に区分される形で規定された一方、附帯業務である「積込み」「取卸し」等の業務は「第2章 運送業務等」のなかで規定されていたため、運送業務と荷待ち・荷役作業等の運送以外の業務の区切りが不明確であいまいでした。

 

改正後:「積込み」「取卸し」等の運送以外の業務については、「第2章 運送業務等」から切り離し、第3章を「附帯業務」から「積込み又は取卸し等」に改称して明確にした上で、この章のなかに定められました。
また、これら附帯業務が契約にないものであった場合、当該業務の対価を負担する主体についても不明確であいまいだったため、トラック運送事業者が運送以外の業務を引き受けた場合、契約にあるものもないものも対価を収受できるような改正内容となりました。

 

2. 運賃・料金や附帯業務の書面による交付

 

改正前:現行の「標準運送約款」「軽運送約款」には、荷送人(運送を申し込む人)による運送の申込みや、運送を引き受けるトラック運送事業者による運送の引受けについては、明確な規定がありませんでした。

 

改正後:荷送人とトラック運送事業者は、それぞれ運賃・料金、附帯業務等を記載した書面である「運送申込書」「運送引受書」を相互に交付する旨を新たに規定しました。

運送申込書には以下の事項を記載することが、標準運送約款の第6条に定められています。
 1.申込者の氏名又は商号並びに住所及び電話番号
 2.貨物の品名、品質及び重量又は容積並びにその荷造りの種類及び個数
 3.集貨及び配達又は発送及び到着の希望日時
 4.集貨先及び配達先又は発送地及び到着地(団地、アパートその他高層建築物にあっては、その名称及び電話番号を含む。)
 5.運送の扱種別
 6.運賃、料金(第十七条第二項に規定する利用運送手数料、第三十四条に規定する待機時間料、第六十一条に規定する積込料又は取卸料及び第六十二条第一項に規定する附帯業務料等をいう。)、燃料サーチャージ、有料道路利用料、立替金その他の費用(以下「運賃、料金等」という。)の支払方法
 7.荷受人の氏名又は商号並びに住所及び電話番号
 8.高価品については、貨物の種類及び価額
 9.第六十一条に規定する貨物の積込み又は取卸しを委託するときは、その旨
 10.第六十二条第一項に規定する附帯業務を委託するときは、その旨
 11.運送保険に付することを委託するときは、その旨
 12.特約事項があるときは、その内容
 13.本約款の内容について承諾する旨
 14.その他その貨物の運送に関し必要な事項

運送引受書には、同じく標準運送約款第7条に記載すべき事項が定められています。
 1.集貨及び配達又は発送及び到着の予定日時
 2.運賃、料金等の額

 

運送申込書に関しては「標準貨物自動車運送約款等の一部改正について」という通達に様式例が載っており、ここには運送引受書に記載すべき事項も併せて記載されています。そのため国は、この様式を複写ないしは2通作成し、お互いが1通ずつ保管することを想定しているのかもしれません。
もちろん、記載すべき事項が載っていればどんなフォーマットでも構いませんので、各社オリジナルの様式にしたり、各都道府県のトラック協会が独自に作成したりするかもしれませんね。

なお、これらの書面(運送申込書、運送引受書)は紙である必要はありません。昨今のデジタル化を進める動きを踏まえ、電子契約サービスを利用したり、改ざん防止措置を施したPDFファイルのメール送信、それら電子データのパソコンやクラウドサービスでの保存も認められています。

 

3. 利用運送(※)を行う場合における実運送事業者の商号・名称等の荷送人への通知等

※元請け運送事業者が自社のトラックで運ばずに、他の運送事業者に運んでもらういわゆる「庸車」のことを、法的には他社を利用すると言うことで「利用運送」と呼びます。

 

改正前:改正前の「標準運送約款」「軽運送約款」では、利用運送を行う場合がある旨は規定されていましたが、利用運送が行われた場合でも荷送人へ通知する制度が無かったため、荷送人が実運送事業者を把握することは困難であり、実際に運送を行う事業者がどこなのかが不明瞭でした。

 

改正後:利用運送を行う元請運送事業者は、実運送事業者の商号・名称等を荷送人に通知する旨が規定されました。また、利用運送に係る費用は「利用運送手数料」」(=下請け手数料)として収受する旨も追加されました。これにより、本来標準運賃で請求していた元請運送事業者が他社を利用しても、この元請事業者は荷送人に対して「利用運送手数料を追加請求できるため、実運送事業者も標準運賃を収受できるだろうとのことです。

理論的にはそうなのですが、果たしてそううまくいくのでしょうか?実運送事業者が標準運賃を収受するためには、元請運送事業者は標準運賃より更に高い金額で荷送人(=荷主)に請求することが必要不可欠です。ということは、荷主の理解を得ることが大前提であり必須要件になります。
このような制度を定める以上、国はトラックGメンによる監視と悪質な違反を繰り返す事業者に対して行う勧告・公表制度を有効活用するなどし、トラック事業者ではなく荷主側への監視・取り締まりを徹底継続する必要があります。
机上の空論で終わらせることなく、制度を作って「はい、これでいいでしょう」ではなく、それが現実化するまで継続的に目を光らせてもらいたいものです。

なお、利用運送手数料は、告示で定められた標準運賃にて10%とされています。

 

4.中止手数料の金額等の見直し

 

改正前:貸切の場合、どんな運送依頼だったとしても一律3,500円/台(小型車の場合は2,500円/台)しか請求できず、しかも積込み日の前日までに運送の中止をした場合は、中止手数料は発生しませんでした。

 

改正後:中止手数料の免除は前日までではなく3日前までとし、その金額は運送の中止時期や予定運賃(運送引受書に記載した運賃料金等)に応じて変動するものとなりました。具体的には以下の通りです。
・前々日に中止 最大20%
・前日に中止 最大30%
・当日に中止 最大50%

今までは前日に中止を言い渡されてもキャンセル料を請求できない上に、急に空いた穴を埋めようと法令に違反してしまうような無理な運行計画の依頼でもやむを得ず引き受けたりしていたトラック事業者が多いのではないでしょうか。

今回の改正により、実運送事業者は配車計画を立てやすくなりますし、仮に直前でキャンセルとなってもそれ相応のキャンセル料を請求できるため、ダメージを縮小することが期待されます。

 

5.運賃・料金等の店頭掲示事項のオンライン化

 

改正前:改正前の「標準運送約款」等では、「受付日時」「個人を対象とした運賃・料金等」「保険料率等」については、店頭に掲示することと定められていましたが、店頭という特定の場所に掲示していればよいというのは、利用者利便を考えたときにあまりよい制度とは言えませんでした。現実問題、自社のウェブサイト等に掲載しているトラック運送事業者はたくさんあります。

 

改正後:店頭に掲示しなくても、自社のウェブサイトに掲載していればよいとなりました。
なお、常時使用する従業員の数が20 人を超えるトラック運送事業者については、原則として、運賃・料金等を店頭での掲示に加え、自社のウェブサイトにも掲載しなければなりませんので、掲載されていない事業者の方はご準備ください。

 

・標準約款を使用するには

大前提として、標準約款と独自約款しか存在せず、独自約款を使用するには認可を受けなければなりません。この独自約款の認可申請をしたことがないトラック事業者は標準約款を使用しているはずです。その場合、何か特別な手続きは必要が無く、令和6年6月1日になると自動的に改正後の標準約款が適用となります。

 

許可申請書様式1-1の2枚目

 

・独自約款とは

標準約款は、国が定めた基本ルールです。現場では、どうしてもそのルール通りではうまくいかないこともあるでしょう。例えば、運送申込書と運送引受書がありますが、荷主との関係上、どうしても標準約款で定められた項目をすべて網羅するのが難しいなどの事情がある場合、その文言を削り、実際の運用に合わせた項目に変更したものを作らざるを得ません。しかし、このオリジナルを無制限に良しとしてしまうと経済の根幹である運送業の崩壊を招きかねないということで、標準約款と対になるオリジナル約款を通称「独自約款」と呼んでおり、この独自約款に基づいて運行する場合は、事前に認可を得る必要があるのです。

なお、独自約款を使用することについて認可申請をしなかった場合は、初回違反で20日車、再違反で40日車の行政処分を受ける可能性があります。

また、使用すると定めた約款によらない運送契約を締結した場合、最大100万円の罰金となります。

約款違反は非常に思い処分が下されますので、しっかりと吟味し、自社に合った約款の使用を届け出ることが大切です。

(参考)

貨物自動車運送事業法

第10条 一般貨物自動車運送事業者は、運送約款を定め、国土交通大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

2 国土交通大臣は、前項の認可をしようとするときは、次に掲げる基準によって、これをしなければならない。

 一 荷主の正当な利益を害するおそれがないものであること。

 二 少なくとも運賃及び料金の収受並びに一般貨物自動車運送事業者の責任に関する事項が明確に定められているものであること。

 三 前号の運賃及び料金の収受に関する事項については、国土交通省令で定める特別の事情がある場合を除き、運送の役務の対価としての運賃と運送の役務以外の役務又は特別に生ずる費用に係る料金とを区分して収受する旨が明確に定められているものであること。

3 国土交通大臣が標準運送約款を定めて公示した場合(これを変更して公示した場合を含む。)において、一般貨物自動車運送事業者が、標準運送約款と同一の運送約款を定め、又は現に定めている運送約款を標準運送約款と同一のものに変更したときは、その運送約款については、第一項の規定による認可を受けたものとみなす。

 

 

・標準約款改正はクリーンな経営の第一歩!荷主との交渉材料にしましょう!

今回の標準約款改正の中には、前向きに捉えられない内容もあるかもしれません。
しかし、昨今の運送業界の問題は多重下請け構造にあると言っても過言ではありません。多重下請けとなり、いわゆる「中抜き」が横行した結果、現場で走る実運送事業者が受け取れる運賃相場がどんどん下がってしまい、ドライバーの給与を守るため無理な運行を重ね、結果としてコンプライアンス違反に繋がってしまう。という悪循環です。

 

多重下請け構造の是正

 

遠い異国の地アメリカでも、一昔前までは多重下請けが横行し、今の日本と同じ悩みを抱えていたそうです。それは大きく分けてふたつです。

一点目は中抜きによる輸送事業の利益率低下。

二点目は事故発生時の責任の所在が明確でないことです。

アメリカは現在法令によって多重下請け構造を規制しています。運送事業と仲介事業とを同一の事業者が行うことを禁止し、運送事業者として業務を受託した場合は該当業務を再委託することを禁止する(トラック運送事業者による利用運送はできない)法案です。

 

今回の改正の目玉でもある運送申込書と運送引受書の相互交付と荷主に対する実運送事業者情報の開示、そして利用運送手数料(下請け手数料)の上乗せ請求。
これらの改正点は、上記アメリカとの共通問題点の是正と合致しますね。
ただ、この改正内容を機能させるためには、国による荷主への働きかけはもちろん、運送事業者の皆様が「どうせこんなんやったって」と斜に構えずチャンスと捉え、地道に契約変更や運賃アップの交渉を続けることが肝要です。

 

その結果、多重下請け構造が見直され、元請トラック事業者もしくは一次下請けが運ぶ=全トラック事業者が標準運賃を収受できるようになれば、皆さんにとっても良い結果なのでは無いかと思います。

今回の改正や昨年からのトラックGメンの活動など、様々な変化が無駄にならず運賃アップ、ドライバーの待遇改善に繋がることを願ってやみません。

 

まずはお気軽にお問合せください!

 

【インボイス】当社は適格請求書発行事業者です

インボイス制度が令和5年10月1日より開始となります

当社は事前申請期間に登録を済ませましたので、制度開始日より適格請求書(通称:インボイス)を発行することが可能です。

登録番号は【T4-0300-0501-7727】です。

適格請求書(通称:インボイス)で受け取らないと、仕入税額控除ができません。

仕入税額控除を従来通りに受けるためには、先方(外注先や仕入先等)から適格請求書(インボイス)でもらう必要があります。

「請求書」というフレーズが入っているため勘違いしやすいですが、書面としては請求書に限らず、納品書や領収書、レシートでもOKです。

決まった様式は無いため、必要事項が記載された書面であればすべて適格請求書(インボイス)に該当します。

ただし、適格請求書(インボイス)を発行できるのは登録事業者に限られるため、免税事業者等の未登録事業者からの仕入れ(免税事業者等への依頼)では、仕入税額控除ができなくなります(経過措置や少額特例あり)。

そのため、原則課税事業者は、取引先が適格事業者かどうか、受け取った請求書等が適格請求書(インボイス)かどうかをチェックしていく必要があり、場合によっては修正依頼が必要となってきます。

詳細は国税庁や公正取引委員会のホームページや手引き、Q&Aをご参照ください。

インボイス制度の概要(国税庁HP)

インボイス特設サイト

少額特例の概要(国税庁HP)

免税事業者及びその取引先のインボイス制度への対応に関するQ&A(公正取引委員会HP)

当社は適格請求書発行事業者ですので、当社への外注費は仕入税額控除が受けられます。

当社は登録事業者のため、令和5年10月1日以降は適格請求書(インボイス)を発行いたします。

ですので、事業者の皆様は安心してご相談・ご依頼頂けますと幸いです。

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